遺伝子組換え作物について

1.遺伝子組換え技術

  1. 生物の細胞から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、それを他の生物の細胞の遺伝子に組み込み、新しい性質をもたせることを遺伝子組換え技術といいます。
  2. 遺伝子組換え技術は、いろいろな生物の有用な遺伝子を効率よく組み込むことができます。農作物の場合、除草剤が効かない大豆や害虫に強いトウモロコシなどが有名です。
  3. 生農作物の他に、洗剤などに入っている酵素や糖尿病治療薬の「インシュリン」などの医薬品は、遺伝子組換え技術を使うことで安定して大量に作ることができます。
  4. 遺伝子組換え作物は、従来の時間をかけて行う品種改良とは異なるため、未知のリスクや不確実性による影響が考えられます。これらについては、食経験や栽培実験を積み重ねながら確認・検証している段階であるといえます。

2.遺伝子組換え作物の市場動向

  1. 遺伝子組換え作物の生産量は、世界的に拡大しています。しかし、栽培できる環境が整っている国は少数です。(2015年28ヶ国1.80億ヘクタール)
  2. 日本は遺伝子組換え作物を大量に輸入し、加工食品の原料や畜産の飼料(エサ)として利用しています。日本国内の大豆使用量75%、トウモロコシ使用量の80%が、遺伝子組換え作物と推定されています。
  3. 日本における遺伝子組換え作物の商業栽培は「青いバラ(観賞用)」のみです。食用の作物は栽培していません。試験栽培の範囲です。

3.遺伝子組換え作物の有用性

  1. 世界人口の増加に伴い、持続可能な方法で食料生産量を増加させることが必要です。これからの農作物の生産は、水・農薬・化学肥料・化石燃料などの使用量を減らしながら、生産量を増やすことが求められています。その手段の一つが遺伝子組換え作物の活用です。
  2. 承認されている遺伝子組換え作物は、従来の農作物と生産面、環境面から比較すると、以下のようなメリットがあるとされています。
    • 単位面積あたりの収穫量のアップ
    • 安定した収穫量の確保(雑草や病害虫による損失を抑える)
    • 農薬の使用量の削減
    • 化石燃料の使用量の削減(CO2削減)
    • 土壌流失の低減(不耕機栽培)
    • 河川の汚染の緩和
    • 生産者の労働時間の削減(負担軽減)
    • 消費者への恩恵(より安い商品の提供)…など
除草剤耐性の大豆の仕組み 除草剤耐性の大豆の仕組み

除草剤耐性の大豆

4.遺伝子組換え作物の安全性および環境影響の評価

遺伝子組換えと、従来のトウモロコシの比較
  1. 安全性評価(食べて安全かどうか)
    食品安全委員会がコーデックス基準を基本に「遺伝子組換え食品(種子植物)の安全性評価基準」に従い、安全性の評価を行います。世界的標準技術として従来の農作物と同じように食べても安全とみなすことができるかどうか、「実質的同等性」という考え方を基本にあらゆる面から比較して評価します。
  2. 環境影響の評価(栽培による環境への影響はあるかどうか)
    「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)」に基づき、学識経験者が評価を行います。「競合における優位性」「有害物質が生みだされるかどうか」「他の植物などとの交雑性」の観点から評価します。
  3. 安全性評価および環境影響の評価を行い、認可した遺伝子組換え作物だけを国内で流通することが認められています。

5.遺伝子組換え作物の課題

  1. 遺伝子組換え作物に反対する意見は多くあります。主に安全性(有害物質の産生、アレルギーの誘発性など)、環境(生物多様性への影響など)、多国籍企業の寡占化について指摘しています。反対する側がリスクを強調し、推進する側がそれを反証するという繰り返しが続いています。
  2. 未知のリスクを懸念する意見、思想的に反対する意見、経済的・政治的な思惑から反対する意見なども多く見受けられます。
  3. モノカルチャー(単一栽培)の問題が指摘されています。除草剤が効かない雑草の出現や従来の作物の栽培技術の喪失など、畑の持つ能力低下が懸念されています。これは遺伝子組換え作物に限ったことではありませんが、輪作体系の確立や多品種栽培など、地域全体の生態系と調和する持続可能な栽培・管理が求められています。
  4. 特許権を一部の多国籍企業が独占している問題が指摘されています。遺伝子組換え作物の開発には膨大なコストと期間が必要で、企業としてコストの回収や利益の追求はやむを得ないことです。このような独占状態を緩和させるためには、公的機関による研究・開発が進むような支援が必要です。

6.コープネットの遺伝子組換え作物の考え方

  1. 日本は、遺伝子組換え作物を大量に輸入し、利用しています。この事実を踏まえ、必要な場合に使用することを前提とした商品提供を行います。
  2. 現在、日本で承認されている遺伝子組換え作物について、食料・飼料用としての安全性評価などで問題になることはないと考えます。
  3. 生物多様性に損害が発生した場合に備え、責任と救済に関する国際ルールの策定が進められています。遺伝子組換え作物が生物多様性に悪影響を及ぼさないように、国際ルールの整備と正しい利用(栽培・管理)が世界的に推進されることを強く求めていきます。
  4. 消費者に対して正確な情報提供とリスクコミュニケーションを積極的に展開すること、そして遺伝子組換えの有無が選択できる、わかりやすい整合性の取れた表示基準を制定することを、政府に求めていきます。