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エピソード25届く喜び、届ける喜びコープデリグループの組合員数は約520万人。組合員の皆さんの数だけ、物語がある。その物語を毎月一つお届けしていきます。描いているのは皆さんのくらしとコープデリの接点。あなたの物語はどんな物語ですか。illustration:MaikoDake新型コロナウイルスの感染が拡大し、首都圏に最初の緊急事態宣言が発令された2020年春、当時成田空港で事務の仕事をしていた武田さんは、第2子を妊娠中だった。すぐに在宅勤務に切り替え、ほとんど外へ出ない生活が始まった。「当初、出産予定の秋ごろには元の生活に戻れると思っていました。でも仕事場が外国からの玄関口ということもあって、怖い気持ちがありました。上司もすぐに『家で働いていいよ』って言ってくれ、夫婦でほっとしました」当時2歳の娘さんが通っている保育園のすぐ近くにコープの宅配センターがあった。「コープの宅配は以前から利用していましたが、どうやって商品を集めて届けているかは知りませんでした。朝、娘を保育園に送るとき、センターにずらーっとコープのトラックが並んでいるんです。“あ、ミドリの制服のお兄さんがいる!”って思っていたんですよ」当時の配達担当者の名前を武田さんは覚えていなかったが、家族以外で会うのは、その担当者ぐらいだった。「若い男性で、メガネをかけた真面目そうな青年、愛想がいいっていうタイプではなく、もの静かな人でした。何かのタイミングで妊娠中だって話したんですよね。そしたら『体調どうですか?』『大丈夫ですか?』と気にかけて武田さんは、1くださるようになって、牛乳やお米やおむつを家の中に運び入れてくださり、とても親切な人でした。何より、このコロナ禍で毎週配達に来てくれることに感謝の気持ちでいっぱいでした」5階建ての戸数の多いマンションで暮らしている。配達の日、コープのトラックは、朝から夕方までそこに止まっていた。たくさんの人たちがコープの宅配を利用している。私もいずれ、誰かの生活に直結している仕事がしたいと感じた。………§………空港での仕事は契約満了で終え、無事に男児を出産した。2人の子どもの母となり、2021年春、武田さんは仕事を再開することに決めた。「新しく仕事を探すとき、インターネットで検索してみたんです。そうして最初に見つけたのがコ※ープデリ連合会印西冷凍集品センターの求人でした」武田さんは電話をしてみた。「電話口に出た人は男性で、明日面接できるっていうんですよ。私が『0歳の下の子を預ける先を見つけないと』と言ったら、その方が『面接に連れて来ていいですよ』って言うんです。普通、子どもを預けて1人で来てくださいって言うじゃないですか。その迷いのない対応に“あ、ここで働きたいな”って思った。後から聞いたら、その日はセンターが稼働してない日だったらしいのですが」武田さんは無事採用され働き始めた。「私は今、組合員の皆さんのもとへ届ける冷凍食品の取り寄せや追加発注などの事務仕事をしています。上司は子育ての先輩でもあり、まず一番に私の心に寄り添ってくれる人です。先輩方もみんな優しくて子どものことを気にかけてくださいます。以前の仕事に比べて、子どもと触れ合える時間も増えて、穏やかな気持ちで仕事ができるんです。子どもは2人に増えたのに、楽になったくらいです」と笑顔。「コープではそれぞれの場所で働く人々が、いつも組合員の皆さんに『届ける』という一つのゴールのために、自分の役割を果たしている。私もその1人です」武田さんは、コロナ禍に届く喜びを知った。そしてコープで働いて初めて、届けることの喜びを知ったという。※コープデリグループの会社である協栄流通株式会社の冷凍品の物流センター。各メーカーから納入された冷凍食品を、個人別に仕分ける業務を担う過去の物語もこちらから読めますあなたのエピソードをお寄せください。コープ職員との心に残る出来事を随時募集しています。氏名・電話番号・組合員コードを記入し、郵便(〒336-8526埼玉県さいたま市南区根岸1-4-13コープデリ連合会コミュニケーション推進部宛)か、左記のWeb応募フォームよりお送りください。♦実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、読み物の形にまとめています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。イラストはイメージです。11