ごあいさつ

とちぎコープ理事長 塚原政雄

日頃よりとちぎコープの事業と活動に対するご協力とご支援をいただいている皆さまに、心より感謝を申しあげます。

昨年夏頃から報じられるようになった米の需給問題は、所謂「令和の米騒動」としてくらしの大きな関心事の一つとなり、依然その先行きは不透明な状況が続いています。当初に想定されていたような一過性のものではなく、複合的な要因がその背景に存在し、深刻かつ長期的な問題であることが浮き彫りになりました。コスト上昇などによる休廃業および高齢化による農業従事者の減少と耕作放棄地への対応、また甚大化・頻発化する自然災害における稲作被害の最小化など、生産面における対策の強化は論じるまでもありませんが、一方で私たち消費者も正しい情報をもとにした冷静な判断や購買行動が求められているように思います。ともあれ、日本の主食であるお米の安定確保、加えて生産と消費の双方が折り合う妥当性の高い適正価格の形成は焦眉の急を告げています。

さて、国連は平和や安全、環境保護、開発、人権など多様な分野から世界に共通する問題をテーマ化し、国際社会における関心を喚起し取り組みを促すことを目的に、毎年「国際年」を設けています。今年は2012年に続く2回目の「国際協同組合年」が制定されました。地域紛争や国際関係の悪化による世界平和の危機、その他山積する世界的課題に向き合うための重要な解決策として、加えて持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けて、協同組合への評価と期待が強調されました。時を同じくして、日本においては戦後80年という節目を迎えましたが、戦争の体験を語り継ぐ人の存在が年々少なくなり「戦争の記憶」を次世代に伝える難しさが増すなかで、“いつまでも戦後であり続ける”ための取り組みはより重要度が高まっています。戦争や紛争は一瞬にして人々のくらしを奪うだけでなく、環境破壊や経済の停滞など社会的な不安定を大きく助長することになります。いかに「恒久的な平和」が大切であり、持続可能な社会づくりに欠かすことのできないファクターであるかを、幅広く共有することがこれまで以上に求められています。

最後に、今年の「国際協同組合年」を機に、改めて私たち役職員は協同組合が経済的・社会的に果たすべき役割や価値を見つめ直すとともに、助け合いの心と多様なつながりで地域社会の発展に寄与しながら未来への可能性を広げていく年にしていきたいと考えています。コープデリグループビジョン2035「食べるしあわせ、自分らしいくらし『ともにの力』で笑顔の明日を」に結集しながら、組合員の皆さま、そして地域からも頼られる組織づくりをさらにすすめてまいります。

2025年6月
とちぎコープ生活協同組合
代表理事 理事長 塚原 政雄

コープデリグループのめざす姿「ビジョン2035」 国際協同組合年