ドライフルーツ製造時に出るシロップで作る寒天ゼリー
「CO・OPもっちりジューシー!フルーツゼリー」、
レモン味の製造を一からご紹介します!
2012年創業の南信州菓子工房株式会社は、国産果物のドライフルーツを約20種類製造する会社。2023年9月発売の「CO・OP もっちりジューシー!フルーツゼリー」は、“ドライフルーツ製造時に出るシロップを使った商品を作りたい”という思いから誕生した寒天ゼリーです。阿南工場(長野県下伊那郡)を訪れて、話を聞きました。
「当社のドライフルーツは、特殊な釜を使い、果実を低温でじっくり蜜煮してから乾燥しています。この工程で濃厚でおいしい果実シロップが副産物として残るのですが、使い道がなく廃棄するしかありませんでした。シロップ自体ももったいない上に、処分にもお金がかかります。『このシロップで商品を作りたい』というのは創業時からの課題でした」と代表取締役の木下裕亮さんは話します。
具体的に寒天ゼリーの構想が出てから約5年の歳月を経て、新しいコープ商品として「CO・OPもっちりジューシー!フルーツゼリー」は誕生しました。
「素材の風味を生かした、できるだけ添加物を使わない商品にしようということになりました」と商品開発担当の加藤雅芳さんが話します。苦労したのはもっちりとした食感を安定的に出すことでした。
「ゼリーの弾力を強化する添加物を使わず、原材料の配合比率を変えて試作を繰り返し、大きさを2cm×2cm角にすることでもっちりとした食感を出しました」と加藤さんは続けます。
自分たちの仕事について、木下さんは“三方良し”を目指しているといいます。
「ドライフルーツは農家さんがいてはじめて作れるもの。農家さんたちも、食べてくださる組合員の皆さんも、製造する私たちも喜べるものづくりをしたいです。果物は年に一度の収穫のものも多いですが、毎年同じ量の果物を買い続けられることが大事だと思っています。
作り手としては、新しい商品は製造現場でもみんなで食べて、自分たちの仕事がより良くできないか考えて発表する場なども設けています。
この地域は豊かな自然に囲まれており、夏になると蛍も見ることができます。工場があることで、蛍がいなくなってしまったらどうするんだという心配のお声もいただきました。環境に配慮した工場運営と、雇用も生み出すことで故郷に残る若者たちが増えたらいいですね」と思いを語りました。
香料、着色料も不使用、果物の本物の風味を味わえる商品です。
ぜひ「CO・OPもっちりジューシー!フルーツゼリー」で楽しいお茶の時間をお過ごしください。
ドライフルーツ製造の際には国産レモンを洗ってカットするところから始めています。大きな傷や黒い点がある場合はそこをカットして(写真A)スライス(B)。
ドライフルーツを製造した際に出るシロップはきれいな黄色(C)。これを冷凍保管しています。
製造前日に解凍し、ゼリーの味が決まる大事な工程・シロップ調整をしてから、風味、ph調整、糖度の確認をします。
翌日に寒天と水を溶かして攪拌機で攪拌します。
寒天は95度以上にならないと溶けないため、熱い状態で砂糖などを加え(写真D)最後にシロップを加えて、混ぜ終わったら型に流していきます(E・F)。
動かさずに1~2日置き、しっかり固まるまで保管します。
固まったゼリーはきれいな黄色に(写真G)。
それを専用の機械でカットし(H)、オブラートの粉末を手作業でまぶしていきます(I)。まぶしたら重ならないように丁寧に広げ(J)、丸1日乾燥させます。
食感がいつも通りかをここで担当者が食べて確認しています。
ゼリーを整列させ1つずつ送り込む機械で包装機へ(写真K)。
包装機へ送り込む際に、目視できれいな四角形になっているかを確認。大きな欠けがある場合や、自然由来でも異物に見えるものが混ざっている場合は取り除いています(L)。
個包装してから金属探知機を通しています。ここで検品者が香り・味・酸味がいつもと同じかどうか官能検査をしています。
レモン味といちご味を重さ・バランスを見ながら外装に入れて(M)封をします。
外装に包装後、異物の混入がないかX線検査機を通して(写真N)、重量のチェックをします。
人の目で外装の封がきちんとされているか、曲がっていないか、賞味期限の印字確認をして、梱包しながら再度目視検査をしています(O)。こうして出荷を迎えます。
【広報誌2024年4月号より】