生産者の永嶋昌和さん。いちごを傷つけないように収穫する方法を教えてくれました
ビニールハウスの中に入ると、真っすぐにのびるいくつもの畝(うね)に、元気な葉が茂り、その合間に真っ赤ないちごが姿をのぞかせています。たっぷりの光を浴びて、甘いいちごが育ちます。
栃木県は日照時間が長く、いちごの栽培に向いており、生産量日本一を誇っています。JAはが野では、570人の生産者が「とちおとめ」を出荷しています。いちご農家2代目で就農して9年の、永嶋昌和さんに話を伺いました。
「いちご作りは3月に苗を作るところから始まり、10月後半から翌年6月初めまで収穫が続きます。JAはが野の職員が、顕微鏡で実が付く部分の成長具合を見て、苗を育てるハウスから、花を咲かせ実を大きく育てるハウスへ移すタイミングを確認するなど、協力体制を築いています」
花が咲いたら受粉のために蜂を放ち、受粉後25日から1カ月かけて食べ頃のいちごに。その間、葉の状態を見ながら、水と必要な肥料を混ぜたものを一日に何度もこまめにあげていきます。この作業を地道に行うことで、糖度が高くなり、きれいな形のいちごになります。
「とちおとめは、酸味と甘味のバランスの良いいちごです。10代~50代の生産者で『いちご研究会』を作り、先輩生産者のハウスを見学して、葉の色を見て栄養状態を把握することや、病虫害予防の農薬散布のタイミングなどを学んできました。これからも先輩のアドバイスを実践しながら、よりおいしく、よりたくさん収穫していきたいですね」
永嶋さんは笑顔でそう聞かせてくれました。
JAはが野には選別作業などを受託するパッケージセンターがあり、生産者が栽培に注力できるようになっています。永嶋さんの元へ案内してくれたJAはが野職員の大関秀幸さんは、「生産者のパック詰めの作業を省くことで、その時間を栽培作業にかけられ、良いいちごが増えます。出荷基準の目線合わせもして、ばらつきがなく品質の良いものだけを出荷できるようにしています」と話します。また、コープの産直産地となって、出荷量の見込みが立ち、経済的な安定性が増したと感じたといいます。
「安定は、生産者を守ることにつながります。生産者と協力し合って、JAはが野全体が産地としてより成長していけるよう、努力を続けていきたいです」と大関さん。
鮮やかな赤が、食卓を一気に華やかにするみずみずしい「とちおとめ」を、ぜひお召し上がりください。
とちおとめを育てて5年、手塩にかけて育てるといちごは応えてくれ、おいしくなります。出荷するいちごは新鮮でみずみずしく、自慢の一品です! たくさんの方に食べていただき、喜んでもらいたいです。
とちおとめを育てて約15年です。今年は天候不順で生育が停滞した時期もありましたが、甘さと酸っぱさのバランスが良く、味の濃いおいしいいちごができました! たくさん食べていただきたいです。
●とちおとめ
鮮やかな赤色で、果肉は淡い赤色。比較的整った円すい形です。酸味と甘味のバランスが良く、しまった果肉である割に果汁が多いのが特徴。収穫すぐのものは、甘い香りがします。
●あまおう
「あかい!まるい!おおきい!うまい!」の「あまおう」。果実は大きく丸みがあり、つやがあるのが特徴です。濃い甘味の中にほのかな酸味が楽しめます。産地は福岡県のみ。
●ゆめのか
糖度が高く酸味もあるため、さっぱりと食べられます。果汁が豊富で、ジューシーなのも特徴です。開発された愛知県のほか、長崎県でも積極的に生産されています。
●紅ほっぺ
色は鮮やかな赤、果肉は鮮やかな紅色で形は長い円すい形。甘味と酸味のバランスが良く、コクがあるのが特徴。開発された静岡県以外に、熊本県など他県でも生産されています。
●やよいひめ
淡く明るい赤色で、果肉は少しオレンジがかった赤色。適度な酸味、強い甘味があり糖度が高い。開発された群馬県以外に、埼玉県・茨城県・千葉県などでも生産されています。
●スカイベリー
明るくつやのある赤色で、果肉は少しオレンジがかった赤色。甘味と酸味のバランスが良く、甘い香りがあります。果実は大きくジューシーでまろやかな味わい。栃木県が開発した新品種。
※イラストはイメージです。
【広報誌2017年2月号より】