時間をかけて作る、おいしいものをお届けしたい!
そんな気持ちから誕生した「CO・OP木樽熟成特選丸大豆しょうゆ」。
巨大な木樽で時間をかけて熟成させたら、よりコクとうま味のあるしょうゆができました。
見てください、上の写真のこの木樽の大きさ! 「CO・OP木樽熟成特選丸大豆しょうゆ」は、国産大豆と国産小麦・天然塩を仕込んで、木樽で18カ月かけて作られています。
大分県臼杵(うすき)市にある製造元、大分醤油協業組合※(フンドーキン醤油株式会社)の工場長・池辺剛(いけべ つよし)さんと、製品開発課の田部(たなべ)一郎さんに話を聞きました。
「はじまりは30年近く前、最新の技術を駆使して作るしょうゆも必要だけれども、やはり昔からの、木樽で時間をかけて作るしょうゆがおいしいのではないか? とひとりの社員が言ったことでした」と池辺さん。
しょうゆ作りには、大豆・小麦に「種麹(たねこうじ)」(麹菌)を加えて作った麹に、食塩水を加えてできる「もろみ」を発酵・熟成させる工程があります。現在は金属製タンクで6カ月ほどでしょうゆを完成させることが可能ですが、木樽の中で熟成するのを待つ天然醸造で作ってみようという話になりました。
まず木樽を作るところからはじめ、木樽と鉄製タンクで発酵・熟成期間など同じ条件で試作したところ、成分の数値は同じでした。ところが、社員で味わいの目隠しテストをすると、全員が迷うことなく「木樽のしょうゆの方が香りが引き立ち、塩味がマイルドでよりコクとうま味があっておいしい」と答えたのです。色も赤味をおびていて美しく、木樽で作ると違うんだ! とみんなが驚きました。
江戸や明治時代の文献に基づいて、3年熟成も試しましたが、今好まれる味わいは18カ月で出るという結論になり、熟成期間が決まりました。現在は8基の木樽で製造しています。
田部さんは「木樽は、木の断熱性で急激な温度変化を起こさず、木肌に空気が入ることで微生物が酸素をよく取り込める環境です。また、洗う必要のない木樽はうま味につながる菌がすみ着き、独自の味わいが作られます。
先代(社長のお父さん)は『しょうゆを作るのは人ではなく微生物。だから、微生物が働きやすいように手助けするのが私たちの役目だよ』と言っていました。それが木樽で作ることかなと思うのです」と話します。
「今後も時間や手間を惜しまず、組合員の皆さんに喜んでいただけるものを作っていきたいです」と池辺さんは言いました。
2017年にクオリティ商品の仲間入りをした「CO・OP木樽熟成特選丸大豆しょうゆ」。1年のはじまりに、しょうゆの香り豊かなお料理を作ってみてはいかがでしょうか。
原材料の大豆は一晩水に浸してから蒸し、小麦は炒(い)って砕く。この2つを麹室(こうじむろ)に入れ、種麹(麹菌)を振りかけて45時間待つ。(製麹<せいきく>)室(むろ)内で風を送りながら、時間をあけて3回混ぜることで、麹菌が全体に行き渡る。(写真1)
できあがった麹に食塩水を加え(もろみ)、木樽(もろみタンク)の中に入れる。ここで18カ月(1年半)発酵・熟成させる。(写真2)この間、発酵が片寄らないよう、定期的に空気を送り込む(エアー攪拌<かくはん>)。また、もろみの味の変化も毎月確認していく。
(食塩水と混ざり時間を経ることで、麹の中のでんぷんがアミノ酸やブドウ糖に変わり、発酵を促しながら香りやうま味の成分を作っていく)
機械でもろみを圧搾(あっさく)する。風呂敷状の布にもろみを薄く入れ(写真3)、400枚重ねたものを軽く押し、翌々日に10トンの重しをして押し上げて絞る。絞り出されたものが生じょうゆ(生揚<きあげ>)。
(9割は絞ることができ、残<ざん>さは地元の牛の飼料になる)
この生じょうゆの味を確かめ規格調整(味を調える)し、次に火入れ(加熱殺菌)をする。主な目的は殺菌と香り付けで、このあと、数日かけてゆっくり自然に冷ますことで香ばしさが増す。
沈殿物(オリ成分)を除去し、ろ過して充填(じゅうてん)し完成。検品を経て出荷される。(写真4)
「コープクオリティ」とは、
の3つの条件を満たした商品シリーズです。
この商品は2016年11月に実施した組合員テストで、92.4%の組合員が「おいしい」と回答しました。
(2007年発売し、2008年に美味シリーズとしてリニューアルし、720mlから500mlに容量変更。2017年9月にクオリティ商品として、包材をリニューアルしました)
【広報誌2019年1月号より】